百万年の船(1)

百万年の船〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

百万年の船〈1〉 (ハヤカワ文庫SF)

表紙が出ないということはひょっとして通常では入手できない本になってしまったか。ハヤカワでは「絶版」とは言わないらしいが、状況としては絶版と言うことか。このような本をデジタルで読める要にして欲しいです、ハヤカワ出版さま。
神の祝福か悪魔の呪いか、ある一定の年齢に達すると都市も取らずめったに死ぬこともない、世界中にいる非常に少数の人たちの物語。初めは紀元前1世紀から始まる。
長い間一人で生きねばならず、たとえ結婚したとしても周囲から疑いの目をもたれぬうちに家族から離れ、一箇所に留まり続けることができないからこそ仲間を捜そうとする、中心となる主人公の気持ちは分かるが、それとは異なる生き方をする者たちもいる。せっかく仲間が見つかったのに袂を分かち自ら自死を選んだり、一緒に生きる約束をしながら相手を裏切ってその財産を奪って一人生きることを選んだりする。最後の女性は、後から考えるとその逃亡劇からも分かるように、一人で生きて言う稿とする意識が強かったことは分かったし、女性が一人で生きるためには体を売るしかなかったことから、裏切りは仕方がなかったとしても衝撃的な幕切れだった。
現代に生きててよかった。

2巻は13世紀から始まる。巻末にいつ頃の話か書いてあるのがとっても親切。

ここ三ヶ月で読んでしまった漫画

タイムスリップはほぼネタにならなくなってきた。そしてサブロー信長と明智光秀の関係を知っている人物が増えてきたな。ひたすらオチだけが気になる漫画。


シャーリーはエマほど暗い過去も無さそうだし、軽い読み物ではあるが、あれぐらいの年齢で働くのはありなのかとかわりと考えてしまう。ダウントンアビーとか見てるといろいろグルグルしてくる。


クソ、内にこもってる人だと思っていたのに足が速いとは。


ちょっと特殊な周囲の登場人物が多すぎて、この連載はあんまりしない方がよかったんじゃないかと思う。ばらかもんほど地に足の着いた感じの登場人物がいなさすぎる。


マガツクニ風土記 6 (ビッグコミックス)

マガツクニ風土記 6 (ビッグコミックス)

最終巻。ある種の夢落ちなのか。とりあえず登場人物が救世主。なんだかんだ言って一部の方向にだけ科学が進んでいました。


雨柳堂夢咄 其ノ十五 (Nemuki+コミックス)

雨柳堂夢咄 其ノ十五 (Nemuki+コミックス)

もう釉月は出てこないのだろうか、残念。蓮がめったに店の表に出てこないという設定だったことに驚愕。主人公だからお店に出ているときの話ばっかりだったからしょっちゅう表に出ているのかと思っていた。


七つの大罪(11) (講談社コミックス)

七つの大罪(11) (講談社コミックス)

6人目登場。ドレファス聖騎士長は何をしてあんなに魔物系になっているのだろうか。そして女神族だと名乗る声のいかがわしさったら内。


ギリシャへ行くのかー。この時代はしょうがないのだろうが、女の扱いってひどいよな。とりあえずある種の幕間的な巻。


だまされていたことが分かったら、デュルクとも理解し合えるようになるのかと思っていたが、彼によって奴隷化されようとしていたことは疑っていないようなので、双子の対決は決定的になってしまったようだ。哀しい。


戦闘シーンはかっこいいよ。とりあえず伯爵が何者なのか知りたい。明智光秀まで出してしまうのはやりすぎなきらいがある。


主人公の登場シーンが2コマぐらい。車に乗っているだけとは。盲目の剣士、が見たいのに。


老けたなー。それよりも百合子の大人っぷりに衝撃。しかもバツイチ。バツイチだらけの家族。しかしヨーロッパの考古学の学会ってそんなに閉鎖的なの? データをしっかり挙げて、それに基づいた推論だったらそれなりに評価されるんじゃないのかー。

ここ1ヶ月半ほどで読んでしまった本

再読。オチは覚えていたが、コーリーが謎の攻撃を受けるのが物語の中程で、その後ひどい事件が起きることは完全に覚えていなかった。老いに対するティプトリーの意識が大きく影響している話であることは分かっていたが、今回読んでみたら老いとそれによる死がティプトリーにとっては解放を意味しているような、死に対して一方的にネガティブではないように感じた。本人のその後の死に方を考えると何とも言えないが。


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

再読。なんとなくしか覚えていなかったが、読んでいく内にああそうだったな、と。アイルランドの古代の名前がなんとなく多いな。違うかもしれないが。確実なのはディアンケヒトだけだが。
どうも理解できない矛盾点が気になったが(矛盾ではないのかもしれないが、作者がもういないので解決のしようがない)、ある種の解放という終わりなのかもしれないが、なんとなく佐藤史生の漫画に似たような読後感。自分だったら解放前も解放後もどちらも生きたくない世界。


屍者の帝国

屍者の帝国

ハードカバーの本を持ち歩くのは苦痛であった。どこまでが伊藤計劃のプロットなのだろうか。実在の人物が入り交じる、「もしもこういう世界であったならば19世紀末の世界はどうであったのか」というのが世界観。不思議なのが、登場人物たちが自分たちが死んだ後のことをそれほど気にしていないということ。自分たちも死んだら屍者にされる可能性が大きいのに。
帯の煽りはフライデーだったとは。これは壮大な、フライデーの物語なのかも知れないと思った。主役は最後の最後で別の世界に行ってしまうのだし。


忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2) (講談社文庫)

忍法忠臣蔵 山田風太郎忍法帖(2) (講談社文庫)

姫が生き残らない忍法帳。姫的な役割を担ったと思われる女二人の死に方が激しい。生き残るのは女に裏切られ、女と忠義を嫌う伊賀忍者のみ。甲賀忍者の男対女の対決でくのいちは全員死んだ。忍者が死ぬのはお約束だが。
忠臣蔵は基本的なことしか知らなくて、四十七士で知ってるのは数人しかいないので、誰これ、という感じでそれなりに面白かったが、忍者の技ってすごいわ〜。

ラスプーチンが来た

タイトルにも登場するラスプーチンが話しに登場するのは半ばも過ぎてから。
山田風太郎の作品によくあるお姫様をめぐる話だが、「永遠の処女」として生きなければならない(生きる決意をした)少女が周囲の男たちを一目で虜にしてしまう。その周囲の男たちの中には不思議な影響力を持った俗物的なアヤシイ占い師と、彼をもうわまる不思議な力を持ったラスプーチンが。
登場人物のほとんどは実在の人物で、意味不明にチラリと谷崎潤一郎が出てきたり、夏目漱石正岡子規が現れて、正岡子規が主人公の前でいきなり喀血したり、かと思うと二葉亭四迷が大活躍したりする。実在の人物たちは血の通った人間として話しに絡んできたりウロウロしたりするが、一部の人間が化け物じみた力を持っていたり、違う日本の違う明治の話のようだ。ものすごくよく知った人がリーダビリティを持たせて妖しい魅力を加えたパロディなんだな。

アラブが見た十字軍

アラブが見た十字軍 (ちくま学芸文庫)

アラブが見た十字軍 (ちくま学芸文庫)

文字通りアラブ側の史料だけで語った、西洋から見ると十字軍、アラブから見れば野蛮きわまりない文化程度の低い「フランク」が突然やってきて大暴れするのを200年かけて追いだした、という地域紛争史。
初めてフランクがやってきた時のエルサレムを中心とするシリア地域、バクダッドの政権、エジプトイスラム帝国があまりにもまとまりのない地域であったことに驚く。砂漠、半砂漠地帯なので領域支配というよりも点と点の支配、ある意味「都市国家」をまとめたものがアッバース朝であり、セルジューク朝であるが、シリア地域のことについてはほとんど気にかけていない。カリフとスルタンはすでに傀儡と化し、小アジアからパレスティナにかけてはルーム・スルタン国アルメニア人諸国、アレッポ王国、ダマスカス王国、と群雄割拠。内部でも兄弟間での殺し合いだの、親子の間での殺し合いだのの状態で、フランクに対抗する集団的な行動ができない。そこからじわじわと実質的な権力を持った複数の都市国家の王による聖戦の呼びかけ、英雄サラディンによるより強力な軍隊によるフランクの追い落とし、彼から始まるアイユーブ朝の動きとフリードリヒ2世、そして強行派のマムルーク朝によって最終的にフランクが追い払われるまでをあくまでアラブ側の視点から描かれている。
ほとんどイスラム側ともいえるフリードリヒ2世は野蛮きわまりなく教養もない人びとの囲まれて大変だったろうなぁ、と思う。そしてサラディンが結構人間らしいところがあった。そして意外なモンゴルとヨーロッパの同盟未遂。
なぜヨーロッパ地域がその後発展し、現在においては先進地域となったのか、そして当時文化的な先進地域であったアラブ地域が衰退の一途をたどり、現在の後進地域となったのかについての考察が非常に面白かった。ヨーロッパは十字軍によって東側の進んだ文化などを取り入れたが、アラブ側は王朝の後継争いがいっこうに止むこと無く、そしてフランクから何も学ばず12世紀前半までにゆっくりと衰退(あるいは退廃)していた状態から結局二度と戻らなかった、という考察。さらに極端なフランクに対する激しい被害意識。これが現在まで続いているとは。まあ、普通、文化の進んだ地域からは積極的に吸収するが、その逆は難しいと思う。そもそもこの紛争の主人公にアラブはおらず、トルコ、アルメニアクルドがその主人公たちであったのも印象的だ。
クルド人たちが悲願にしていることが国民国家の樹立であることも容易に理解できる。

百鬼夜行抄・23巻、海街diary・6巻・四月になれば彼女は、デストロ246・4巻、BIRDMAN・3巻、妖狐×僕SS・11巻、最遊記RELOAD BLAST・2巻、白暮のクロニクル・3巻、七つの大罪・10巻、シドニアの騎士・13巻、大奥・11巻

百鬼夜行抄 23 (Nemuki+コミックス)

百鬼夜行抄 23 (Nemuki+コミックス)

今回は一時期に比べて格段に読みやすくなったなぁ。青嵐も鳥もあんまりでてこないが。


思春期の男女のあわい恋愛と高校の進路と、肉食系姉の影はあるが好みでは無さそうなおっさんへの恋と、不倫を精算した長女を狙うヘタレコーチと、一番順調そうな三女のアフロ店長の影のある過去と、よく考えると恋愛が多いんだが、恋愛もの苦手なんだが、これはなんか読める。映画化のシャチ姉の配役はおかしい。


初めからでていたもう少し生き残りそうな男二人も死んだぞ。これで男で生き残ってるの一人しかいないじゃないか。こいつも死んだら伊万里は自由になるのか。



最終巻ですかそうですか。5巻ぐらいまでが神展開だったのにその後のグダグダと駆け足展開ととりあえず終わらせました感がひどい。


さて、過去話と連動するのか、それともこのまま進まずにフェードアウトするのか。作者の体調が心配。


探偵ものになるのか。来年で話し終わることになっているのは現実の時間の流れと一緒なのか。子どもの場合は、まあしょうがないよね、しかも地獄を見ているし400年も生きているんならドライにもなろう。


妖精王無双巻。女神族っていうのが実はもっとも嘘くさい連中かも。


シドニアの騎士(13) (アフタヌーンKC)

シドニアの騎士(13) (アフタヌーンKC)

星白のことはどう考えているんだろう。そしてかなたを乗っ取った時の声はどっちの声だ? 子安なのか櫻井なのか。


大奥 11 (ジェッツコミックス)

大奥 11 (ジェッツコミックス)

そうか、さすがに女将軍に50何人も子ども産めないから、家斉が男に戻るのは当然といえば当然なのか。話の繋がり具合がやはり素晴らしく上手な人だ。一橋治済がひたすら恐い。自分だけがかわいくて後はどうでもいい人か。

フェルマーの最終定理

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

フェルマーの最終定理 (新潮文庫)

積ん読、ノンフィクションの片づけ開始。
一般書として書かれているので、数学の難しい理論や公式は「補遺」として本の最終部に付されているので、そこを無視して読めば350年に渡る数々の数学者の努力と発見が連綿と連ねられているのを流れを止められることなく読み進められる。人間のたゆまない思考の前進と、それによる数学の理論(数論)の発展が、それだけで引き込まれる科学史(数学だが)として成り立っている。作者は数論をよく理解している上に、作家としても素晴らしい才能を持っているようだ。
フェルマーの最終定理の証明のために、日本人の二人の数学者が多大な影響を与えていたことは知らなかった。そのうちの一人は非業の死を遂げるが、自ら死を選ばなければひょっとしたら自らが手がけ始めた予想によって、4世紀にわたってフェルマーに踊らされた数学者たちの悲願が達成されたのを見れたのかも知れないと思うと、残念。
しかし、フェルマーの「ここには書く余裕がないから証明できたけど書かないよ」というのは、本当のことなのか、フェルマーの得意の意地悪なのか、よく分からない。とりあえず意地悪でひどい人間であることは分かった。それでも頭はものすごく良いんだからなぁ。