ラスプーチンが来た

タイトルにも登場するラスプーチンが話しに登場するのは半ばも過ぎてから。
山田風太郎の作品によくあるお姫様をめぐる話だが、「永遠の処女」として生きなければならない(生きる決意をした)少女が周囲の男たちを一目で虜にしてしまう。その周囲の男たちの中には不思議な影響力を持った俗物的なアヤシイ占い師と、彼をもうわまる不思議な力を持ったラスプーチンが。
登場人物のほとんどは実在の人物で、意味不明にチラリと谷崎潤一郎が出てきたり、夏目漱石正岡子規が現れて、正岡子規が主人公の前でいきなり喀血したり、かと思うと二葉亭四迷が大活躍したりする。実在の人物たちは血の通った人間として話しに絡んできたりウロウロしたりするが、一部の人間が化け物じみた力を持っていたり、違う日本の違う明治の話のようだ。ものすごくよく知った人がリーダビリティを持たせて妖しい魅力を加えたパロディなんだな。