後宮に星は宿る 金椛国春秋

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

後宮に星は宿る 金椛国春秋 (角川文庫)

中華風ファンタジー
国を乱さず、滅びを回避するために、皇后の外戚をすべて、崩御した先帝の墓地に埋めることで族滅をなす、という設定は、初めは、「ほー、おもしろい。楊貴妃も一族の登用で政治が乱れて安禄山の乱が」とか、「後漢の後期から末期もそういえばそうだったか」と単純に思って読んでいたが、母后(限定の実母ではなく、先帝の皇后)が権勢を振るっているところが読み取れて、よく考えると国が乱れるのは母后と外戚、というより佞臣化した宦官のような、と思ったら、設定的にはちょっと弱い、という感想となってしまった。漢を最終的に滅ぼしたのは宦官の養子の曹操だった。
年齢的にぎりぎりの、女装の病弱箱入り貴族の次男坊が、すべてに気づいた感のある屈折した宦官の策略に乗りつつ、族滅させられた一族の再興にたどり着くか、という話の結末はとても気になる。ちょっととんとん拍子に進みすぎている感はあるが。