歴史教育
大げさなタイトルだが、中身はたわいもない話だ。先日、日本人の大学生とちょっぴりお話をしたのだが、彼女は「マルタっていう国があるんですかー?」と聞いてきたので、「そうなんだよー、地中海に浮かぶちっこい国でさー」と受けた。実はそれ以外マルタについてはほとんど知らない。マルタについて知っているのは、1,マルタ騎士団がある。2,巨石文明遺跡が残っている。と、この二点。すでに、現在のマルタに関しては捨て置いている状態。まあ、しょうがないので1の話をしようと思って、「マルタには、聖ヨハネ騎士団が元になった・・・」と話したら、きょとんとされたので、「えーと、日本史受験?」と聞いたら、そうとの答え。これで会話終了してしまったわい。
まあ、向こうとしては別にマルタ騎士団なんてどうでもいいだろうし(だいたい私だって、聖ヨハネ騎士団がどう巡りめぐってマルタ騎士団に落ち着いたか実はよく分かってないし)、巨石文明だって一応一説としてはアイルランドの誇る*1ニューグレンジ遺跡とも関係があるかもーーーーーしれない、というものだから、まあ、知りたくもないことかもしれないが。
私が中学・高校生のころは、とりあえず日本史と世界史は両方やりまして、3年の時点でどっち受験にするか決めたものである(ひょっとしたら高2で決めたのかもしれない。そんな昔のことしっかり覚えてられるかっ)。しかし、私は私立の一貫校に行っていたので、だからそういう教育方針でいけたのかもしれない。今の日本だと、高1高2で日本史は鎌倉時代まで、世界史はルネッサンスが始まる前(つまり中世の終わり。変な言い方だ、「中世の終わり」。)まで、高3になって選択でそれぞれのその後、しかやらないのはヤバイのではないか、と思う。まあ、聖ヨハネ騎士団は中世なので、一応やってはいるんだろうけど、本当に重大になるのは近現代史じゃないか、と。第2次世界大戦時のマルタ島の状況って、結構激しいんじゃないだろうか? 地中海だぜよ(と偉そうに言ったところで、私も知らないのだから、ヤバイ分けなのだが)。
イラクの位置が分からないとか(一昨年のセンター試験の、イラクとクウェートなどの場所を地図から選ばせる、という世界史の問題は、ひどかった)、なーーんで、イラクの国境線は一部あんなにマッツグなのかー、なんでイスラエルとパレスチナは人を殺し合っているのか、アメリカがアフガニスタンとイラクをまず攻撃したのは、その間にあるイランを最終的にどうにかしようという陰謀のせいじゃないのか*2、そういう問題の原因は、近現代史やらないと、いまいちぴんと来ないと思うんだが、どうなんだろう? ぴんと来る人はぴんと来るんだろうか? それとも世界史を近現代史まできっちり高校時代に勉強してたって、ぴんと来ない人は来ないのかな。
とりあえず、文部科学省にいらっしゃる東大・京大出のお勉強の良くできる、机上の空論がお上手な方たち*3に一言申し上げたい。真の国際人を育てないのなら、「英語は発音がまず大事。だから小学校から英語教育を」とか言ってないで、「海外で活躍するなら、自分の国と世界状況を見極める目が大事。だから小学校からせめて日本史教育を」という方向に、転換していただけないものか。きれいな発音で「I don't know where Iraq is, but it doesn't matter, does it? 'Coz my English sounds like native speakers.」とかだったら、恥を輸出しているようなもんでしょが。
最後に。これが「アイルランドが誇る世界遺産(アイルランド共和国には世界遺産が2つしかない)」ニューグレンジ遺跡でござる。
http://www.knowth.com/newgrange.htm
あと、実は私もどういう過程でイラクの国境線が画定されたかよく知らなかったりする。で、こういう本があるのね。
- 作者: ジャネットウォラック,Janet Wallach,内田優香
- 出版社/メーカー: ソニーマガジンズ
- 発売日: 2006/03
- メディア: 単行本
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