パレオグラフィーについて。


今学期になってpaleography(古文書学)という授業にもぐっている。manuscript(写本 以下、マニュスクリ)を読む、というものだが、初めのころのローマ時代のマニュスクリは読みやすかった。大文字。四角い形。大きい文字。アンシャル体、セミアンシャル体までも、何とかなった。
問題はそのあとの、insular(アイルランドと現スコットランド及び北イングランド)と、national hands(西ゴートやメロヴィングのような、ローマ末からカロリングまでの間の、その特徴的な文字によって、書かれた地域が分かる、というもの)が。
非常に読みにくい!
授業を受けるまででの予想としては、mとnとiの見分けがつかないんだろうなー、とか、やっぱりsとrも見分けつかないんだろうなー、でもこれはアクタサンクトールムで慣れたし、ふふん、というものであった。
でも実際は、m,n,iの見分けはつく。つかないのは、まず、aとt。tの左側に出っぱってる線がそのまま丸く下に伸び、足にくっついてしまっているので、aにしか見えない。逆にaは、上の部分が開いている。そうするとcとiがくっついてるように見えるし、uとの見分けもつきにくい。で、先週、先々週とその時点でオチコボレに。凹んだよ。
で、今日になってやっとそのあたりの区別がつくようになったわー、と思っていたら、今度はoがdにしか見えない。段々見分けのつかなくなる語が増えてきてる気がするのだが。ヘタにラテン語の知識がちょっとあるから、写している時にもすでに「こんな語、無いし」と間違ってる予想がついてしまい、悲しい。
そして後半はカロリング時代のマニュスクリに。すばらしい!上部の開いたaはまだ存在するが、同時に現在のaにちかい、アンシャル体のaが復活、大文字もちらほら出てきてるし、他の語の見分けはつきやすくなった。つまり、カール大帝が統一した字体は、ローマ時代のものをかなり復活させた、ということなのですな!だてに「大帝」がついてるわけではないのだ。さすが、水泳得意!(このネタ大好き)


ところで最初の文字は良く飾りが付くのだが、その飾りの中に象が描かれた例を2例見せてもらった。カール大帝が飼っていた、象ってやつだが。一つは明らかに写本を書いた人が象を見て描いたと分かる、写実力。もう一つは、象というインパクトのある動物がいたことは知っているが、実際は見たことがないとしか思えないもの。牛の体に牙二本突き出てて、おでこのあたりから長いホース状のものが伸びている。象だとは分かるが、どうみてもUMAレベル。ちょっと怖かったよ。