百万年の船(2)

百万年の船〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

百万年の船〈2〉 (ハヤカワ文庫SF)

二巻目。不死の女性三人の生き方が対照的。一人は一巻の最後で裏切りを働いた女性で千数百年間、生きる糧を自ら体を売るか売春宿を営むかだけで得ていた。何かこれといって貢献することもせず、自らに価値を見いだしていない。ある一人は千年近い人生の前半は男性の保護と主導院の保護の下生きてきた後、モンゴル軍の侵略以降は(ほとんど書かれていないがおそらく)何かのために立ち上がり、戦って生きてきた。自らの人種の権利を守るために。もう一人はアメリカに連行された父親を持つ黒人奴隷。自力で農場から脱走し、奴隷解放論者たちの援助のもとにカナダへ逃亡後、働きながら勉強をし、貧しく虐げられた人たちの自助組織を運営するようになる(後に売春だけで生活していた仲間を自分の右手にすることによって、彼女に生きる意味と自らの価値を与えることになる。)
不老であり限りなく不死に近い人たちが、愛する人たちと子供たちや孫たちの死を乗り越えながらそれでも生きようとする場合、どのように生きるかはその人のキャラクターによることがよく分かる。まあ、二人目の場合、13世紀から次の登場が第2次世界大戦なので、その間どうやっていたのかいまいちよく分からないのではあるが。
しかしここまではまったくもってSFではない。