ファウンデーションの彼方へ(上)

ファウンデーション・シリーズ」三部作を経て数十年ぶりに書かれた続編の、上巻。ミュールによる逸脱にもかかわらず、そして「セルダン・プラン」の管理・監督者である第二ファウンデーションの「滅亡」にもかかわらず、予言がまったくピッタリに当てはまることに異常を感じる、第一ファウンデーションの議員は第二ファウンデーションが未だ生き残っていることに危機感を抱く。それに対してまったく同じ理由によりもうひとつの「セルダン・プラン」を管理している第三のグループの存在を疑う第二ファウンデーションのトップ、12人の「発言者」たちのうちの最年少者。彼らによるそれぞれの目的の探求の旅。
前者は一緒に登場することとなった学者の目的に導かれて、伝説的、銀河系の人類の発生した唯一の星、地球探求の旅へとなる。たったひとつの星から人類が生まれたことはすでに忘れられ、単なる神話とされている時代の変人学者。
後者はこの議員が「鍵」となることを「直観」的に感じ、スパイを通じて彼の足跡を追う。
読者はこれらの状況すべてが陰謀によるが、誰の陰謀か疑心暗鬼にならざるをえない。なぜなら第二ファウンデーションは才能と訓練と教育によって他者の精神に影響を与え、操ることができるから。どこまでが彼らの影響かわからない。さらに、第二ファウンデーション側が疑う「第三者」も精神を操る可能性があるから。なんだか変に順調に進んでいたり、導かれる方向に敢えて逆に反応したりするのもひょっとしたら実は計画通りなのかと思わせたり、どこまでが誰の目的で、何に向かっているのかわからない。
伏線なのかそうでないのかの見立てが建てられない。それが読書の楽しみなのかもしれないが。
そして唐突に出てくる「ロボット」。アシモフのもうひとつの「ロボット・シリーズ」との最終的な融合の伏線が張られている、というのは以前読んでいた時に知ったが、それほどあんまりロボットロボットしてないな、今のところ。
再読だがほとんど覚えていないことに気がついた。