ファンデーション対帝国、第二ファウンデーション

かつては銀河系すべての支配者であり、すでに崩壊の一途をたどっているが腐っても帝国、その最後の偉大な将軍によるファウンデーション攻略が第1部。ファウンデーション創設から300年ほど、セルダンの予想通りに進む社会、そしてこれまでの偉大な指導者はすでになく、ファウンデーション内部も権威主義や金満主義で以前までの新しい希望に満ちた社会ではなくなっている状況で、古くなったとはいえかつては銀河系を所狭しと動いていた戦艦、それと一体どうやって立ち向かうのか、彼らのところに捉えられた貿易商人と、ファウンデーションについての知識を持った老貴族がキーか、と思ったところがセルダンの「予言」の恐ろしいほどの展開。もはや誰かがどうして、という問題ではなくあっけなく終わる戦争、ファンデーションの勝利。これでファウンデーションは間違いなく次の第二帝国を立国するであろう社会となった、と思わせといて。
第2部でミュータントが登場。大人数の集団を扱う社会学的心理学的学問によるセルダンの予言には、個人の働きは含まれていない。個人がどう動いても大した変化は起こらないことが前提だから。だがこのミュータントは一人で大変動を引き起こし、とうとうセルダンの予想が大幅に外れる。
ミュータントの名前の由来(これは次巻でようやく明かされるが)、どのような以上能力を持っているか、そして姿をまったく見せないという話の流れで誰がそのミュータントであるかは再読なので分かってはいたが、どういう結末なのか、誰かが死んだような、というぐらいしか覚えていなかったので、もうそこだけが読みたくて猛烈に読んでしまった。基本的にSF読む時はあまり検証したりしないで物語として読むタイプなので、普通だったら途中でミュータント「ミュール」の正体が分かった人は多かったのかもしれない。分かっていて読むとそこら中に伏線が張ってあるんだよなぁ。
うろ覚えしていたものがでてこないなぁ、と思ったらこれはこの後の話であった。


上記のミュータントが、自らを危険に落とす可能性のある噂だけがある「第二ファウンデーション」を捜索するのが前半。どんでん返しの上のどんでん返し、といっていいのかな、予想はある程度つくけど、あれ、来た、と思ったらさらに来た、といった感じ。第二ファウンデーションの正体がかなりここで明かされてくる。ただの「心理歴史学」という社会学と数学を結びつけた学問の学徒のはずなのに、いつの間にか人の精神に手を付けられる超人的能力を開花させていたことがいまいち納得できない。
後半はミュールが唯一近くにおいて(状況としてはミュールがくっついていたように描かれているが)その能力を使わなかった女性の孫娘が主人公。生意気で、頭の回転が善くて、行動力があって、自信家のローティーンの女の子ってかわいいなぁ。最後の最後にそれが第二ファウンデーションの行動のせい、っていうのがちょっと残念だけれども。
結局第二ファウンデーションはどこにあるのか、どれほど人びとに影響を与えているのか、は読者には明かされるが(これも覚えていた)、登場人物たちには正確なことは分かっていないのに、よく分かったと信じ込み、第二ファウンデーションは滅び、最初のファウンデーションが再びセルダンの予想に従って進展していく、と納得して終わる。セルダンのプランにミュールの影響があったにもかかわらず曲がりなりにもしたがうことができたのは、人びとが滅ぼしたと信じている第二ファウンデーションのおかげなんだけどね。


ここでアシモフは一端ファウンデーションシリーズについては筆を置いている。しかし30年の月日がたって新たにファウンデーションシリーズが始まるのだが、これは途中までしか読んでいない。人類がすでに忘れてしまった生誕の星、地球の探索が最終的な目的であり、そこにあたまにRのついたあの人がいるような、というところで読むのを止めてしまったが、実はあれで終わりだったんだろうか。


もうちょっとゆっくり読まなきゃいかんな。