ファウンデーション

積ん読がほぼ無くなったので、ずいぶん前に読んだ本の再読を開始してしまう。

大筋は覚えていたが、こんなにハリ・セルダンが思わせぶりなことしか言わなかったとは、思っていなかった。
心理歴史学、というかなり文系な(少なくとも日本では心理学はなぜか文学部にあったりすることが多い)響きのする、その実大群衆の行動様式を数学的に予測する、という学問を下敷きに、爛熟期を通り越して退廃をし始め、この先の崩壊と滅亡しか向かう道のない銀河系を包含する銀河帝国の、滅亡後の動乱期3万年を、1000年の短さにして再び人類が新たな帝国を形成させよう、という計画の下に始まるファウンデーション。少なくとも200年間はセルダンの予測のままに進み、科学と宗教を結びつけた方法でその力を帝国から外れてきた辺境に力を及ぼしながら、金権政治へと向かい、そしてその後は! というところで終了。時間が『ファンデーション対帝国』だから、辺境から中心へとその力の方向が向かうのだろうことは分かるが、さて。というのは先も大筋は覚えているからなのだが。
無神論者のアシモフが、科学文化の退化した世界において、かつての進んだ科学が魔法のように見えることでそれを宗教化して自らの優位性を示す方法をその物語に取り入れたのは、なにやら皮肉めいて見える。宗教は、人間がそれを利用するために作り上げた者にすぎないのではないか、と言っているようで。