されど罪人は竜と踊る・1巻

されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons~ (ガガガ文庫)

されど罪人は竜と踊る 1 ~Dances with the Dragons~ (ガガガ文庫)

中二病炸裂のファンタジー。咒式という魔法っぽく見えるけど実はちゃんと物理的に証明されることによって世界が劇的に変わった力を持った主人公とその相棒による、戦闘しまくる話。腕はちぎれるは目玉は引き裂かれるわでちょっとグロ。技名がついていたり、技を展開する時の細かすぎる化学的説明と(こういうのはかなり好き)、一人称によるちょっと多すぎるきらいの感想とか解釈、主人公は中の上ぐらいの見た目(らしいが、一人称語りによるために一番見た目がよく分からない人)と、その相棒は超絶美形の狂戦士とか、やりすぎると中二病も昇華されていい感じになるんだなぁ。
主人公とその相棒がお互いを人間的に好きになれないにもかかわらず補完的関係であり、戦闘においてはあうんの呼吸で動ける関係性はありがちではあるが非常に分かりやすくて萌えるし燃える。
残念なことは、主人公は自分は苦労性で普通の人間であるのに、狂戦士は異常なものに偏愛する変態の金遣いの荒い女ったらし、として口汚くなるのは仕方ないとしても、狂戦士の方が主人公をバカにしている理由がいまいち読み取れない、というか一人称小説の基本として主人公以外の人たちの心情が、主人公の心情が饒舌なのに反比例して描かれていないことによる理解しがたい部分がある。狂戦士さんは自分に対してものすごい自信家であることはよく分かるが。さらに上気したように主人公のルックスはこのカラー絵から想像するしかないんかい、という一部こちらの想像力を奪われてしまっていることか。