復活の地Ⅰ

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

復活の地 1 (ハヤカワ文庫 JA)

私はこの作家と誰かを混同しているようだが、その混同していた作家の本があまり面白くなかったので、敬遠していた。読んでよかった。
目が良くなったのでそれがうれしくて1日で読んでしまった。積ん読がどんどん無くなってしまっているがどうしよう。
舞台となった世界に住んでいる人たちはもともと誰なのか、どのようにしてこの世界ができたのか、まったく別の世界のようなのに車に載ったり電車が走ったりしててどういうことなの? というのは後で説明されるが、そんな説明はなくてもまあ何とかなる。それを踏まえるとSFということになるのかな。
舞台は立憲君主でありながら日本のようにやんごとなき方々とされるような、下々の者と直接会話を交わすことのない一族を頂く、惑星世界を統一しようとしている帝国。政治的には主戦派と和平派に二分され、前者がやや優勢。議会制。陸軍と「宇宙軍」である天軍の二つがあるが、後者は創設されたばかりの弱小軍。官僚制は整っている。そんな世界で500万を超える人口を要する帝都での、巨大地震による甚大なる崩壊が物語の始まり。議場が崩壊し国会中だったために議員は数名を残して全滅、やんごとなき一家も不遇を託っていたが静かに平和に暮らしていた末娘を残しておそらく全滅、各省庁は建物ごと崩壊、祭りの日だったために数万人規模で圧死、街中を焼き尽くす火事、沿岸部を襲う津波。発表されたのは2010年なんだよね・・・。
そんな世界を残された一部の人たちが力を合わせて復興をなす、というのがおそらく大筋ではあるが、残された人々はそれぞれの立場があり、政治家、官僚、軍人、ブン屋、諸外国(違う惑星)、皇族、異民族(自分たちよりも卑しいとしている人々)、庶民がそれぞれの利害のために、もしくは滅私奉公しようとする。
あらゆる人たちの性格付けとそれに基づいた行動、状況の複雑さの無駄のない描写、圧倒されて一気に読み終わってしまった。ああ、早く続きは読みたいけどキンドル導入を考えているので停滞しそうだ。
しかしだ、普通のハヤカワSF文庫なのに何故登場人物のイラストと、本編に時々イラストが入るのだろう。イラストは止めて欲しいなぁ。地図はよいけど。