ザ・ロード

マウスが勝手にダブルクリックしてしまうのは、パソコンのせいなのかマウスのせいなのか。


ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)

おそらく核戦争後の世界。焼けこげた大地と灰と生きているものの何もない、暗く寒い場所を、親子二人で南へと向かう物語。生きるために息子以外のすべてを犠牲にする父親と、こんな世界でありながら優しさを失うことができない幼い息子が、食べ物を手に入れることと、寒さと雨を凌ぐことと、人を食べることで生き延びる「悪い者」から助かることを考え、必死に南へと向かう。このまま生きて頑張るのか、死んだ方が楽なのか。絶望の中に希望のよすがは息子だけの父親の心情が哀しい。
何者も助けず、非常に息子の安全だけを守るために非常になる父親と、息子を受け入れてくれた家族との対照性が際だつ最後。それでも、希望はほんの少ししか見えないのだが。


原作のせいなのか、訳者のスタイルなのか、読点(、)がひとつもない文章は、所々切れどころが分からず初めの頃は何度か読み返させられて、少しイライラさせられたのが難点。途中からは話が重いのもあってかなり流し読みになったが、それでも読み返させられるところがあった。