逆転世界

逆転世界 (創元SF文庫)

逆転世界 (創元SF文庫)

荒涼とし、球体をしていない太陽が容赦なく照りつける大地を、架線に載って年に36.5マイル北へ進む都市。そこに育った少年が、都市を進ませ続ける責任者集団、ギルドに入り、少しずつ「なぜ都市は進まなければならないのか」、その世界の謎を知っていった時、彼は非情な世界の現実を知ったのであった! みたいな話。
初めの頃は誰も説明してくれない。誰も、説明することは不可能だ、と言い、主人公の妻のフラストレーションに感情移入する。そしてとうとう世界の謎へ肉薄した時の、異常な状況と、実際に体験しなければ誰も信じられないだろう世界の形に衝撃を受ける。ところがそれで終わらないのがすごいところだ。歪んだ世界よりも、最後の三分の一で明かされる事実の衝撃の畳みかけ方が、すごかった。原住民の話す言葉がなぜ英語ではないのか。なぜ彼らは少しで目を離すと怠惰になるのか(多分これは穿った見方だが)。なぜその年では生まれてくる子供の男女の比率が極端に男子なのかははっきりと語られていなかったが、おそらくアレのせいだったんだな。永久機関か。


双曲線が分からなくてバイト先の数学の先生に聞いたわたしは完全なる文系女だ。