ころころろ
- 作者: 畠中恵
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/11/28
- メディア: 文庫
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これまでの話の基本的な流れは、病弱な大店の跡取り息子、若旦那による「安楽イス探偵」小説だったが、今回は若だんなの若かりしころの初恋話からスタートか、と思わせておいての連作だった。
若旦那の目が見えなくなってしまうが、なぜ見えなくなったのか、その原因が分からない。若旦那はただでさえ病弱な上に目も見えなくなって自分がお荷物の人間でしかないことに苦悩する話と、彼にかいがいしく仕える人に化けた妖二人、美形で薄く微笑む仁吉と、力持ちの佐助の二人の、それぞれの若旦那のために奔走する姿が描かれているのも珍しい。
人と、妖と神の間に流れる時間は違う、という、現実を突きつけた話で締めくくられるがそれでもこれまで通りののんびりした、少しだけ寂しいな、と思う展開。
これはこれでいい話の流れだな、これまでの謎ときよりもわたしは好きだ。