啓示空間

啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)

啓示空間 (ハヤカワ文庫SF)

文庫なのに1000頁を超えているので人を殺せるような厚さ。
始め何の関係も無さそうな三つの話が徐々に関連していき、最終的にひとつにまとまって何かに操られるようにしてある場所へと向かっていく。向かっていく場所は啓示空間ではないので、なぜにタイトルが啓示空間(現代もそのまま)かよく分からず。
分厚いけれどもったいぶった会話や、もったいぶった話題が適宜に出てくるので先が気になって読み進めるのが苦ではない、というよりも読書を途中でさえぎられると気になってしょうがない展開。登場人物がそれぞれ特徴的な話し方をするので、いろいろな人物が議論をしていてもそれほど混乱させないのは訳者の力量のなせる業なのかな。時々「外国人から見た日本」的なものが出てくるのが不思議だった。虚無僧の持っている尺八は武器ではありません、みたいな。
始めに古代人(異星人類なので、地球の人間ではなく、しかもほぼ百万年前に栄えた文明)の発掘調査から始まったので個人的に物語に入りやすかった。主人公の一人がやけに発掘にこだわり、危険だから避難すべき時にもそれを無視して発掘を敢行するとはなんという自分勝手、と思っていたがそれも伏線であったことは最後になると分かる。
時の進み方が(それぞれの章は24○○年=つまり25世紀半ばあたり)前後して変だな、その割に話は前後しないが、と思ったが、光速に近い速度で飛ぶ宇宙船と、惑星上の人物による時の流れの違いが現れていることは後になって気がついた。それなりにきれいな終わりではあるが、データとして残るだけなのは私はイヤだなぁ、本人にしてみれば大した違いは無さそうではあるが。


関連作がありそうではあるがどうしようかな。