中世の光と影

中世の光と影 上 (講談社学術文庫 205)

中世の光と影 上 (講談社学術文庫 205)

中世の光と影 下 (講談社学術文庫 206)

中世の光と影 下 (講談社学術文庫 206)

今更ながら超基本的な本を、と思ったら2年前に一度読んでいたようだ。
上巻の中世初期については大きな事件がすべて社会的な状況と絡んでいて、一概に「800年にカール大帝西ローマ帝国皇帝になった」と単純化していってはいけないという話で非常に面白かったし、今になって驚くような目から鱗が落ちるような見識があって非常に面白かった。
下巻は突然社会状況に絡めると言うより、十字軍以降がいわゆる文化史を詳細に語る形になって、文化史は社会史的背景をともなって始めて面白くなると考えている自分にとっては少々退屈であった。
著者である堀米庸三の意識の違いというか、対象に対する見方の違いというか、そもそもそういう意図で全体の構成を考えていたのか、何らかの理由はあるのだろう。