異星人の郷・下

異星人の郷 下 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

異星人の郷 下 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

遅ればせながらペストがとうとう到達し、ほぼ想像通りの結末であったが、異邦人たちにも及ぶ悲劇的な運命までは予想していなかった。
現代の二人の話が最終的には結びつくことは予想していたが、最後の最後であんなにきれいなまとめになるとは思わなかった。しかもそれが一人の最後の最後のセリフで悲劇的なのに感動的に結びつけられるとは。最後のセリフのために読んだ小説だったと言える。
そのセリフからすれば、確かに14世紀の人びと、特に異邦人たちにとっては悲惨以外の何ものでもない緩やかに死に向かう道程であったとはいえ、ほとんど感動的とも言える終わり方だった。希望すら見えた。


西洋中世史に興味のない人たちにとってどれほど興味深い本なのだろうかと、思っていたが、そこがポイントではなかったのだな。しかし、ラテン語をすらすら読めたらこういう作業も楽だろうなぁ、と落第生の私としては羨ましいところが所々あった。
ウィリアム・オッカムの死亡時、死亡した状況が謎、というのは知らなかった。