異星人の郷(上)

異星人の郷 上 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

異星人の郷 上 (創元SF文庫) (創元SF文庫)

一回読み始めて半ばまでいったあとからおそらく半年以上放置していた本。目が見えなくなって読書が楽しみではなくなってしまっていたことと、そのような状態が哀しかったのもあったな。
1348年のおそらく現在のスイス、当時の神聖ローマ帝国内の、最も近い都市はフライブルクという小さな荘園におけるファーストコンタクトもの。14世紀、ヨーロッパ中世でのファーストこんたくとものって、しかも1348年、最初のヨーロッパでの黒死病大流行の年! と思って読み始めたが、ペスト話はほとんど無いし、領主に異星人の存在がばれた時点でなんとなく興味を失っていたのだ。14世紀というのが個人的には興味が非常に薄い、というのもあった。せめて13世紀だったら、とか、せめて都市での話だったら(宗教改革前夜の都市は意外に面白いことを最近後輩に教えてもらったので)などと思っていた。
こんな田舎の神父をやっているには惜しいぐらい学識高い人物と、異星人との会話は教理問答としては微妙だったが(『薔薇の名前』ぐらい徹底してくれるとそれはそれで面白かったのだが)、荘園での人びとの営みは非常に興味深かったのだが、普通にSFを読む人たちにとってこれは面白いのか、とも思った。でも『このSFが読みたい』の2010年の翻訳物の第1位だしなぁ、と感じていた。上巻の最後の4分の1からが俄然SFになってきた、ということでもうちょっと読み進んでいれば相当速い辞典で読んでいたんだな、とちょっと悔しかった。
教理問答のように見えていたのが、当時の西ヨーロッパの学識と、現在にも通じる科学知識の妥協点であることがやっと分かった。当時の言葉に置き換えられていたから気がつかなかった。光が非常に小さいもので池の水のような波で伝わる、とか、四大要素のうちの火と水の性質を持ち動線を流れるもの、の当たりでやっと気がついたよ。エーテルとかで完全に中世的エーテルを考えたりしなければよかった。


下巻が楽しみだがもうちょっと読むスピードを下げないと状況がヤバイ。