白鳥異伝

白鳥異伝 上 (トクマ・ノベルズ Edge)

白鳥異伝 上 (トクマ・ノベルズ Edge)

白鳥異伝 下 (トクマ・ノベルズ Edge)

白鳥異伝 下 (トクマ・ノベルズ Edge)

仕事が増えてきてとりあえず気分転換、と思ったらまた全部一気読みしてしまった私のバカバカ。
白鳥かぁ、ヤマトタケルかぁ、というのが読む前のイメージ。
女の子が頑張る、っていうのはいいし、展開が速いのですらすら読み進められるし、状況説明も多すぎず少なすぎずでいいんだけど、主人公の女の子の心情の変化の理由がいまいち分からず。とくに大好きで自分が守ってあげなくちゃと思っていた幼なじみというか兄弟として育ったという関係の男の子が、その時どんな心情でいたかは分からないまま自分だけでなく育ったムラを破壊し、その他の人びとやムラに対して暴虐を行っていることから、「あの子を殺すのは私」といっていたのに、ある時から突然「あの子を解放するのは私」へと変化したことに違和感を感じた。話を読んでいれば悪いのはその男の子ではなく、彼を利用する人びとであることは分かるので、メタしてんのままでいれば「解放する」のは至極まっとうな反応ではあるのだが、主人公はそのことを知らないのだよ。「解放」=「死」である、ともその前には書かれていなかったことなので、違和感が否めなかった。
あと主人公にとってのご都合主義がちょっと多すぎの感が否めなかった。とくに女好きで派手目でいい加減そうに見えながらも強くて頼りがいがあって責任感も実はあって話せるヤツ、というものすごく魅力的すぎるキャラがいろいろ立ち回りすぎて、女の子頑張る、が多少薄くなってしまっているのが残念。というか彼がもっとも都合のよすぎるキャラだな。


前作の『空色勾玉』をほとんど覚えていなくても問題なかったが、あれもなんだかちょっとご都合主義じゃないか、と思えた気持ちだけは残ってる。私はこの作者の作風は合わないんだと思う。三部作の最後の『薄紅天女』は読まないんじゃないかと思う。改変日本古代ものは難しいんだよね、ネタとして。