イブン:バットゥータの世界大旅行

始めの三分の一の、14世紀のイスラム世界及び「パックス・モンゴリカ」と、個人(といってもそれなりに学があってそれなりの身分がある人)が現在のスペインからニジェール川まで、さらにインドから中国までを数十年かけて旅することができる、その状況の説明は非常に面白かった。残念なのは、作者も後書きに書いてあるように、実際の旅の行程が場所の名前から場所の名前、その場所の王朝名とスルタン名、の羅列に終始していること。さらに原著名と現在の一般的な名称両方が書いてあって、一般書であるならば後者でもいいのではないか、と思うぐらいカタカナが大量にあること。
できればその地でどのような珍しいものがあったと書いているのか、彼がどのように感じたのか、具体的な部分を多くして、移動については地図をたくさん載せているのだから、事細かに場所の名前を書かなくては良かったのではないか、と思った。現在の私の目では地図の細かな地名は見えないのではあるが。


後半は読むのが大変だった、というのが素直なところ。パックス・モンゴリカに関する本でも探して読んだ方が良いな。