跋扈する怨霊
- 作者: 山田雄司
- 出版社/メーカー: 吉川弘文館
- 発売日: 2007/07/21
- メディア: 単行本
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基本的には施政者が恐れる怨霊の系譜をみながら、怨霊への対処の仕方、怨霊の性格の変化、仏教思想の影響を、古代から室町にかけて追ったもの。日本最強の怨霊は道真だと思っていたが、崇徳院が最強であることを知った。平安末期から幕末までその影響力は大、らしい。良く考えれば諡号が最強だものね。崇める入っているものね。
政敵の怨霊化を認めることは、自らの権力の正当性が脅かされることになることから、頼朝になるまでは位階を上げたり、墓(御陵)を整備したり、諡号を変えたり(とくに「徳」の字を入れる)あの手この手で霊をなだめるが、どうしようもなくなると寺を建て神社を建てて祭り上げ、仏僧による経典の読み上げを何日も行ったり祭りを行ったりする。それでも収まらないのが普通。そして誰かが死ぬ、という状況から民すべてに関わる疫病の神と変化する。それでも道真は善神化されるわけだ。これが崇徳上皇では起こらない。頼朝以降になると疫病というより世の中の擾乱の原因として、躊躇なく寺や神社を建立する。
御霊信仰、と言うが、すでに霊に「御」を付けている時点で、恐い、ということだ。