ウロボロスの古写本・下

ウロボロスの古写本 下 (ハヤカワ文庫 NV ク 20-4) (ハヤカワ文庫NV)

ウロボロスの古写本 下 (ハヤカワ文庫 NV ク 20-4) (ハヤカワ文庫NV)

ウロボロス錬金術→賢者の石→エリクサー(笑)、はいはいそうですね、としかいいようのない展開だなぁ。終わり方もなんだか尻すぼみだし。「みんなが長生きで多くのことを享受する世界」っていうのは『ハーモニー』の世界観に近いけれども、それに対する作者のあるいは少なくとも主人公たちの葛藤が少なすぎる。付け合わせのサラダみたいだ。
主人公のキャラがもっとも立っていないところも難点。作者は女性抜きの作品を書いた方が良いのではないか? 遺伝学者であるとか、母親と離れて暮らしていたとか、そのあたりの設定がほとんど使われてない。後者に関しては「だからこそお母さんを助けたい」という風にも見られるが、遺伝学者である必要性はまったくないし、どちらかというと科学雑誌の記者とかの方が、いろいろ調べたり、お母さん助けるはずなのになんでそんな方向に行動するのか、とかの説明になり得ると思うんだが。最後に母親に会えたのも主人公にとっては偶然のたまもの、ではないか。
アメリカ人ってカプサイシン知らないのね、という感想か。