一鬼夜行

勉強と関係ない本と漫画を読むときは裸眼。もっとも手術の結果がよかったことを感じるときだ。

(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)

(P[こ]3-1)一鬼夜行 (ポプラ文庫ピュアフル)

何カ所か何度か読み直さないと意味の通らない、読みづらい文があったとか、よく考えると唐突な展開だな、しかもややご都合主義っぽい感じをさせるな、と思う部分もあったが、総じて面白かった。
百鬼夜行中に空中から落ちてくる小鬼、小春は、妖怪っぽさを感じるよりはこまっしゃくれた(見た目より年齢がうんと高いので)、それでいて無邪気さも合わせ持ったよくしゃべりよく笑う子供。その小鬼に居候されてしまう喜蔵は見た目は30歳過ぎな閻魔っぽい鬼のような形相で表情に乏しく人を信じない、それでいて実はお人好しの青年。時代は明治維新より5年後(それを感じさせるのは牛鍋を食べることぐらい、他にも描写はあったが。)、舞台は基本的に小さな長屋の一室、まわりには小物の妖怪がいっぱいの中での、妖怪に関わる事件の解決を手助けする、という筋立ての中に、大きな筋が所々入り込んで大団円、という仕組み。
大円団といってもちょっと寂しい終わり方、というのは個人的にはわりと好み。
邪魔だ邪魔だと邪険に扱ううちに、妖怪によって人嫌いの人間が人と触れあううちに多少人間らしくなっていく、という成長物語でもあるのかも。妖怪側はまったく成長しないのもその対比で面白い。えー、いきなりこんな展開、ご都合主義で唐突〜、と思ったところあたりから実は読むのが止められなくなったのは事実。