日本中世の百姓と職能民
- 作者: 網野善彦
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2003/06/09
- メディア: 文庫
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百姓≠農民(隷属民、農奴)という公式ではなく、百姓のもともとの語源(多くの姓ーかばね)とも相通ずるようなさまざまな職種を持った「自由民」=「平民(プレブス)」であり、だからこそ公民としての義務と権利を所持していた人たちであるということ。もう一方は、職能民≠非人、賤民という公式ではなく、それ以前の神や仏、そして天皇という「聖なるもの」の保護を得たものたちであるということ。
という話の流れで結局のところ(これは西洋史でも同じ問題だが)「封建社会」ってなに? というところに落ち着く。
西洋の中世初期を見ていて感じることと同じく、戦国時代以降に確立していく詳細な上下関係、それによって庄屋的上層身分と農奴的下層身分の二分に別れていく農民と、職人と賤民に分かれていく職能民、という図式が見える。
網野善彦の研究を引く次ぐ人がいまいち現れていないように見えるのは、おそらく本人は違うといっているがその根元に「マルクス主義」があり、それによって中世史の研究者でありながら、最終的には現在の天皇制と被差別部落両者の問題へと収束していくから、なのかも知れないと思った。
白文が出てくるのが少々困りましたがこれは私の勉強不足によるものなのでしょうがない。漢文サッパリ。