Stranger in the Strangeland

あれ? また頭痛か・・・。

異星の客 (創元SF文庫)

異星の客 (創元SF文庫)

火星への本格的探査研究の宇宙船の唯一の生き残り、正確には乗組員の間に生まれた火星生まれ、火星育ちの地球人、火星人に育てられたことによって彼らの文化、宗教(という言葉はない、という設定)、哲学、能力を持ったまま地球へ帰還。そんなマイケル・ヴァレンタイン・スミスは純真無垢な、学習に貪欲な幼児のような青年から、純真無垢のまま地球の成人男性として自我を確立して「覚醒」、そしてその影響力を少しずつ拡大させながら最後「分裂」して終了(生々しい饒舌な描写)。地球人なのに「長老」化? 


分厚かったよ、宗教談義(はこれは別に私としてはかまわなかったけど)とか美術談義とか恋愛談義とかが長かったよ。
原題を直訳すると『異邦の異邦人』ということになるのかな。半ばあたりはそういう雰囲気がバンバンと出てる。時々出てくる「長老」と「天使」たちの意味深な話は大した伏線にならず、想像通りでした、というところでまあ良かったが、後1万年もすると地球は粉砕されてしまうのか、なんだか萩尾望都の『スターレッド』みたいな話だ。
最後は少しぞっとした。いい話っぽくしながら、飼い慣らされて、飼い慣らされたものたちはそれに気付かず、幸せであると思い、世界中にその福音を広げようとする、という終わり方。なんでヒッピーの「聖典」化したんだろう?(訳者後書きによると)
マイケルは前半はものすごいカワイイ。もの知らずでなんでも良く信じるイイ子。萌え具合としては『月は無慈悲な夜の女王』のコンピュータ・マイクと同じ感じだった。


しかし長かったなぁ。