グレッグ・イーガン『ディアスポラ』

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ディアスポラ (ハヤカワ文庫 SF)

ハードSF。ほとんどの人類がハードウェアとなっている1000年先の地球が(最初の)舞台(その後2000年以上進む)。
初めのうちがかなり苦痛だった。なかなか進まない上に心理描写+物理学と数学的知識の羅列。中性子星の連星の衝突→爆発→地球上の物理的生物の絶滅、から要約話が進み始めて、読書も進んだ。
それでも物理学や数学の話は皆目意味不明。ハードSFにありがち。そういえばイーガンの『万物理論』もそのあたりはまるっと無視して話の筋だけ追っていたが、今回もそう。最後の数千年(数万年? もっと?)の時間的移動(空間?的移動。正確には次元の移動)に圧倒された。最後に残ったのは一人。そして一人思索に戻る、という終わり。
途中まではまさに「ディアスポラ」であったが、最後は探求となっていた。結局会えなかったけど。会えなくてよかったのかも。想像できうる生物であったらつまらなかったのかもしれない。
最後は私だったら耐えられない悲しさであったが、孤独に生まれた孤児である主人公にとってはそれなりに充足し、そしてこれからも幸福な終わり方なんだろうか。こういう少し考えさせる、そして気分的に少し悲しくなるような終わり方は、SFではよくあるなぁ、と思う。
現実からこれほど引き離し得るのはSFならではで、そこがファンタジーとの違いかな、と思う。
それでもしばらくハードSFはいいや。ちょっと疲れた。500ページ近かったし。