数学の歴史

物語 数学の歴史―正しさへの挑戦 (中公新書)

物語 数学の歴史―正しさへの挑戦 (中公新書)

始めの1章のみ、なんの話かよく分かったが、それ以降の数学の実際的な内容については飛ばし読みした。数学がよく分かる人であればまた違ったおもしろさが分かるんだろうな、とうらやましくも思ったが、それでも私としてはかなり楽しく読めた。数学の話ではなく、「数学史」の話だからで、つまり「思想史」に近い問題だからだと思う。
基本的には西洋数学が中心であったことが少々残念ではあったが、ギリシャにおける数学の概念が「見る」ことが中心であり、「計算する」ことがメインではない、という話はおもしろかった。その原因が、神殿やら祭壇やら、街作りやら、つまり実際的な「設計」をもとに生まれたから、という話もそれなりの説得力を持つ。
そしてそれ以降の西洋数学はこの「見る」数学と「計算する」数学の二つの流れによって発展し、最終的に美しい形で統合された、という論の進め方。まさに、西洋人のものの考え方の一端としての数学の発展史、というものであった。


個人的にはもっと中国の情報が見たかったなぁ。半分ぐらいまでは出てきたが、近代以降は完全に西洋中心だった。しょうがないだろうけど。