Church and Polity

初期中世アイルランド修道院領の性格に対する古典的な研究に対して再検討が必要とされていた時代に、まさにその目的のために教会と世俗の王権(及びlesser dynasties)との関係を、近年はダブリン近郊の歴史的観光地として有名なGlendaloughの状況を、一つのケーススタディとして主として7世紀から12世紀のイングランド侵攻以前までの長期的時代に渡って詳細に検討したものが本書。

Ailbhe Sémus Mac Shamhráin, Church and Polity in Pre-Norman Ireland: the Case of Glendalough, Mynooth Monographs 7, An Sagart, Mynooth (Co. Kildare), 1996.


結論めいた結論は出さず、淡々と状況を叙述する形式。初期中世アイルランド史をちょっとでもかじっていないと、おそらくほとんど理解できないというものすごく内にこもった研究でもある(なにより著者の名前が読めないという問題もあったり)。とりあえず10世紀以前の部分のみ飛ばし読みしたが、paruchiaの問題がやっぱりサッパリと分からず。
時代によって変化し、特に10世紀までにはかなりterritorialになる、つまりヒューズのscatterな状況とは違う、と言うことでいいんだろうか。paruchiaと、monastic paruchiaはどうも違うようでもある。というか後者はいわゆるヒューズのものか? この問題は自分の研究に延々とついて回るのに読めば読むほど分からない・・・。
Dynastyとか、そのDynastyのsegmentsとか、日本語でどうしたらいいのかも相変わらず分からない。王朝は言い過ぎだから「王家」でいいのかもしれないが、その単語から来る大きさからはほど遠いアイルランド。「王家」の「家門」? 「枝族」?