売ってるところが少ない漫画
- 作者: 三宅乱丈
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2008/01/30
- メディア: コミック
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いよいよ主人公が本格的に世界に乗り出す3巻。何も知らず特権階級で生きてきた少年が、未だ知らない自分の宿命に向かって進まざるを得ない状況と、その彼を取り巻く世界の、ほんの一握りの支配者が隠蔽してきた事実が少しずつ解明されていく、二筋の流れが交互に展開していく物語。読者には少しずつ少年に隠された真実が見えてくるのに、未だ主人公自身はほとんど何も分かっていない、いつ気が付くの、どう気が付くの、そしてそれは本当はどういう意味を持つの、という手に汗握る展開。
ここですでに1巻で現れていた複線が回収されて、さらにより大きな複線に飲み込まれていく、という理想的な進行。複線はあんまり長い間放置されるとどうでもよくなる。始めから読み返してみたが、軽く読み飛ばしていた一つのセリフが大きな意味を持っていることが分かったり、ものすごくちっちゃく描かれたある部分を見てどきっ、としたり。そしてどう考えても明るい展開どころか淡々と深刻な展開に進むとしか思えない状況。
しかし、あれは、よく考えれば予想されてしかるべきものだったのに、まったく気が付かなかった。ある意味詐欺だ。そして、音声の出ない漫画ならではの手法。
それにしてもやっぱり「デューン・砂の惑星」シリーズを彷彿としてしまう。