神の存在

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id:saisenreihaさんのところから頂きました。


EU圏内でアイルランドポーランドに次ぎ「神の存在を信じる」割合が高い。まったくもって意外でない結果であるが、つまり両国とも現在でもかなり「保守的なカトリック国」と言えるのではないだろうか。興味深いのはアイルランド政府主導で多くのポーランド人がアイルランドに出稼ぎに来ていること。かつてアイルランド人にその理由を聞いた時は、ポーランドという国の歴史と自国の歴史とが似ていることによる「シンパシー」と、この宗教的な国民感情も大きな理由と言われたが、単に「カトリック」と言うだけではすまないような「保守ぶり」を感じる(やっぱりあのスターウォーズパルパティーン皇帝のような悪人顔の教皇がいらっしゃたら、前教皇ヨハネ・パウロ2世がダブリンにいらっしゃった時のような大歓迎ぶりをするのだろうか? この時は話によると(激しく極端な気もするが)、西ヨーロッパの首都内にある公園としては最大の《アイルランドってこういうのばっかりだなw》フェニックス・パークに100万に集まった、ということだ。どうだろう、その時のダブリン市民の数は100万人ぐらいだったと思われるのだが)。
とは言っても、近頃はポーランド人だけでなく他の東ヨーロッパ地域からも多くの人がアイルランドで働いてはいるのだが。その職種は主にIT関係で、わたしにとっては意外(もの知らずなもので)であったが彼らは非常に英語が上手である。語学学校には多くのアジア人(日本人、そして近年は中国人と韓国人が増加中)と、南欧の人々(イタリア人、スペイン人)がいるが、東欧出身者には会ったことがない(と言っても最近語学学校に行ったのは一昨年の夏、たったの2週間なので、単にわたしが会わなかっただけ、という可能性も大きいが)。10年以上前にダブリンの語学学校に来た時は、旧東ドイツ出身の生徒がいて、「民主化されるまで(正確には旧東ドイツは旧西ドイツに吸収されたわけだが)、外国語はまずロシア語であった」というために英語を習いに来ているようであったが、1980年代末から90年代始めの東欧の急激な民主化*1により、英語教育に力を入れるようになったであろうことは想像に易い。
すでに若者の中には毎週のミサに参加しないどころか、クリスマスもイースターも教会に行かない、という状況がアイルランドで増えてきているように感じたが、ここがダブリンであるから他の地域よりもその度合いが大きいだけで、地方ではそうでもないのかも知れない、という気がしてきた。そういえば国民投票によって僅差で離婚が合法化されたのもほんの10年ほど前のことであったし、確か未だにどんな理由があろうとも堕胎を禁止する国であった(この問題が大きく取りざたされたのは15年ほど前に、少女がレイプにより妊娠した時、国内での堕胎を禁じた裁判の過程であった。最終的な妥協の判決として、「国外=イギリスに出て堕胎するぶんには見なかったことにする」的なものであったはずだ)。
ITバブル真っ最中で、成金が増加し、ヨーロッパ1といってもいいインフレ率で急激にグローバル化する、EU随一の宗教的保守の国、アイルランド。いろいろ矛盾や歪みが生じていそうな感じではある。現代政治を研究するには実はかなり面白い国なのかも知れない。

*1:もうあれから20年近くたつのかと重うと驚くと同時に、いかに自分が年寄りになったか悲哀も感じる