畠中 恵『ねこのばば」

ねこのばば しゃばけシリーズ 3 (新潮文庫)

ねこのばば しゃばけシリーズ 3 (新潮文庫)

数日前に読了。文庫化された第3作目。
これまで通りの「病弱でしょっちゅう寝込む大店の若旦那」と、
彼を甘やかしまくる兄や(にいや)にして大店の手代として働く齢千年の妖怪二人、
そして彼らを取り巻く九十九神やら子鬼たちによる「大江戸探偵絵巻」。
前作、前々作よりもやや暗い影が見え始めた気がする本書。
事件の終わりがやけに苦かったり、
人間が生きていく上でどうしようもなく避けられない物事のあることが描かれたり、
これまでの妖怪と人間(というか若旦那)との係わり合いがあまりにも楽天的であったのが、
ここで初めて妖怪と人間が接触することの危険を織り交ぜてある。


本書も短編集であったが、
第1作目のような長編ものが読みたい感じがしてきた。