St Brigit's Day

2月1日は聖ブリジット*1の祝日。キリスト教の聖人の祝日はその聖人が亡くなった日で、亡くなった=神の国に生まれた新たなる誕生日、ということで本人の誕生日よりおめでたいのだな。そもそもブリジットなる人物が実在したかどうかに関しては、わたしは甚だしく疑わしいとは思っているのだが。
彼女の聖人伝に書かれている奇跡は、結構みみっちい。普通は一日に一回しか搾乳できないのになんと1日に三回も搾乳した! とか、あり得ないほどたくさんバターを作った! とか、ベーコンを料理中に腹を空かした犬が来たので犬にベーコンをあげたのにベーコンは減ってなかった! とか、こう結構初期中世のアイルランドにおける主婦の仕事ぶりを彷彿とさせるので、みみっちいけどほのぼのとする、というか。聖人伝がよく使う奇跡話の型として、聖書のイエス・キリストの奇跡と同じ事を行う、というのがあって、ブリジットも盲目の人の目を開いたとかあるのだが、「これぞアイルランド」と思わせるのは、キリストがカナで行った、水→おいしいワイン! 型奇跡で、ブリジットの場合はこれが、水→おいしいビール! になるわけだ。「もうすぐ復活祭だからビールをたくさん造らなければ」といったやりとりが繰り広げられたりすると、ああ、もうワインはいいんですかそうですか、「とりあえずビール」っつー感じっすよね、という感じがまたほのぼのとするんだな。そういえばビールの銘柄が鬼のようにあるベルギーでも、ほとんどは元々は修道院醸造されていたものだし、今でもそういうものは多いだろうと思う。しかし、なぜベルギーでビール? 場所的には赤は無理でも白ワインは余裕で醸造できると思うんだが。
アイルランドでは初期中世からワインは完全輸入もんだし。ボルドーからの直輸入なんだよ、かっちょいいことに。ボルドーがらみと思われる地名も西部にチラホラ残っているらしい。ま、どっちにしろ高級で手に入りにくいしなには違いなかったんだろうな。でもワインはミサでは欠かせないものであっただろうから、その辺はどうしていたのか、気になるところだ。
で、2月1日にはブリジット・クロスというのを作ってドアとかに掲げるらしい。おみやげ屋さんでは365日手に入る。できてるバージョンと、「自分で作ってみよう!」バージョンとがそろっているが、原料がワラ、ってと頃がまたみみっちくてほのぼのとするのだなぁ。

季節感的にはこれから凄い勢いで日の出ている時間が長くなり、それとは対照的に、それでもゆっくりと春になる、と期待しているんだが、多分3月に入っても気温はたいして変わらないだろうな。はぁ。

*1:スペリングはいくつかある。Brigit, Brigid, Bridget, Bride