よしながふみ『大奥』

大奥 (第2巻) (JETS COMICS (4302))

わたしの窮状（？）を知り、友人のうりぼうさんが卓上カレンダーと共に送ってくれた。ゆっくり読もうと思ったのに、昼食後の休憩時間に一気に読んでしまった・・・。よよよよ。
これってひょっとして、１巻に収まるページ数まで考えて構成されてる？　という気がした。１巻では、男子の激減とそれによって発展した男女逆転大奥の暮らしぶりを、著者お得意の「異常にいろっぺー男」を主人公にした爽やか恋物語風で説明し、最後の最後に「実はこうなったのは１００年ぐらい前のことでなぜこういう大奥になったかというと・・・」という形で「待て、次巻！」にした上で、２巻は巻頭からまた著者お得意の「異常にいろっぺー男、しかもハゲの坊さん（なのに美しいよーーー）」と、男が減っていく中でしょうがなく将軍の影武者というか、血脈のつなぎとして少女が将軍の役割を担っていくがハテサテ、という物語で逆転大奥の形成過程を見せる、しかも最後に二人が「実は少女（＝ヒロイン）が過去の経験によって心に闇を持っていることを理解した男（＝ヒーロー）の、これから先きっと困難があるであろうけれど、どうか成就してくれ、と祈りたくなる恋の始まり」で終わらせている。
すごいよ、気がついたらある意味王道少女漫画になっていたよ、ママン！　
「美男子、お育ちはよいが世間知らずのぼんぼんでもなく、自分が多少は世間知らずだと言うことを知っている、優しくて気高い理想のヒーロー」
と、
「心に傷を持ちながらそれをかたくなに見せず、それどころか強がっている故に「気が強い」と思われている、けれども実は誰かに理解されることを求めていたヒロイン」
との恋！

　あ〜〜、これが普通の現代学園ものだったら、ちょっと読めないわ、恋愛ものが苦手なわたしとしては、というよく練られた作品であることが分かった。
ただ心配なのは、こうテンポ良く話が進むところをみると、４巻とか５巻ぐらいで終わっちゃうそうなのだが。まあ、そうなってもちゃんとした落としどころで綺麗に終了してくれるだろうから良いんだが。

ちなみに帯に「僧侶だった男と、一人の少女との、純愛。」って書いちゃだめでしょ。ちょっと先読めちゃったもの。この辺のうっかり具合が「白泉社」なんだよなぁ。わたし的にはうっかりじゃすまないけど。

帰国したら良いという噂のこのあたりを読んでみよう。（良いという噂＝BLじゃない。いや、BLも女にとっては良質の純愛漫画として読めて良いんだけど、ちょっと濃すぎるのがあるから、この作者。まあその濃さは、この人の淡々とした話の進め方と、何よりも淡泊な絵で薄められてはいるんだが。と、必死でいい年こいた腐女子じゃないと言い訳してるみたいだな、わたし）

執事の分際 (白泉社文庫)

愛すべき娘たち (Jets comics)

こどもの体温 (ウィングス・コミックス)

愛がなくても喰ってゆけます。

ちなみに夏に買ったこれはほのぼの、でもちょっとほろり、で良かった。とりあえず影のある主役（というか始めの話でその後いなくなっちゃうのだが）がやっぱりいろっぺー男でよろしかった。

彼は花園で夢を見る (ウィングス・コミックス)