『ダ・ヴィンチ・コード』の謎

なんだかバカ売れしている。ダブリンの本屋ではいまだにペーパーバックが平積み状態だし、3月に日本に帰った時には文庫版が本屋で平積み。どちらにも「『ダ・ヴィンチ・コード』の暗号解読」系の本はいっぱい出版されているし、一時はテレビでもこれ系の「あやしー」特番が多く見られた。
何が理由ではまっている人が多いのか、よく分からない(単に映画公開直前だからなのかもしれないけど。でもどう見てもそれだけでは理由が説明されないような)。
あまりにも有名なものに、実は裏があった、しかもその裏とは・・・!!! という、手に汗握る内容のせいなのだろうか? そう考えると、ダン・ブラウンのこれ系の一作目『天使と悪魔』は当作の遙か下を走っている(ような感じがする。)理由は、やっぱりダ・ヴィンチの高名さ故によるのだろうか?
これで西洋史に興味を持つ人が増えて、「西洋史が学びたい」という学生が増えてくれるといいな、と漫然と考えるが、本のブームは「西洋史だから」という理由ではないようにも思える。だいたい、この本読んで「ルネッサンスがやりたい」とか、「歴史に名高い(?)秘密結社をやりたい」とか、「マグダラのマリア伝説をやりたい」という学生が増えたら、指導する側が困るだろう。塩野七生が大好きで「イタリア史がやりたい」といっている学生みたいだ。これがきっかけで、本格的に研究しよう、という姿勢だったら別にいいんだが。参考文献が塩野七生だけ、っていうよりも、ダン・ブラウンだけ、の方が遙かに問題だろう。
しかし、謎だ。考えても分からないし、分かってどうする、ってことでもないのだが。
そういえば、『神々の指紋』がブームになった時、考古学志望の学生って増えたのだろうか? どっちにしろ、つっこみどころ満点なんだが。