遠き神々の炎(下)
- 作者: ヴァーナーヴィンジ,Vernor Vinge,中原尚哉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1995/11/01
- メディア: 文庫
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銀河系における危険を回避することができたが、それによる犠牲も大きかった。自らの誠実さを見せるための自死ともいえる救援行動、数十億の文明の崩壊の予想、そして自らも低速圏に捕らわれることによってほぼ永遠にもといた際涯圏へ戻ることのできなくなった主人公。地球人類の新たな生息地とはなったが、再び中世的生活を余儀なくされた。ある意味大団円を迎えたのだろうが、スクロードライダーに組み込まれた罠を際涯圏に伝えることもできず、邪悪なAIの精神を完全に葬ることができたのかも知ることができないよ。
とりあえずその世界設定(際涯圏ではこれまで知られた物理法則とはまったく違う法則が働いていることや、そこにおけるコンピュータの想像も付かない高度さ)や、特に鉄爪族という知的生物の性質とか、時間感覚の壮大さ(邪悪精神が以前、宇宙にもたらした災厄が50億年前)など、ものすごい想像力で組み立てられた、スペースオペラなのかな。艦隊戦が一回しかないからオペラじゃないかもしれないが。