遠き神々の炎(下)

遠き神々の炎〈下〉 (創元SF文庫)

遠き神々の炎〈下〉 (創元SF文庫)

三者側に迫る危険、50億年前から仕込まれていた罠、疑心暗鬼、偽りと裏切り、と手に汗握る下巻。第3部に入って初めて三者が戦場の中心で出会うことになってからの急展開。
銀河系における危険を回避することができたが、それによる犠牲も大きかった。自らの誠実さを見せるための自死ともいえる救援行動、数十億の文明の崩壊の予想、そして自らも低速圏に捕らわれることによってほぼ永遠にもといた際涯圏へ戻ることのできなくなった主人公。地球人類の新たな生息地とはなったが、再び中世的生活を余儀なくされた。ある意味大団円を迎えたのだろうが、スクロードライダーに組み込まれた罠を際涯圏に伝えることもできず、邪悪なAIの精神を完全に葬ることができたのかも知ることができないよ。

とりあえずその世界設定(際涯圏ではこれまで知られた物理法則とはまったく違う法則が働いていることや、そこにおけるコンピュータの想像も付かない高度さ)や、特に鉄爪族という知的生物の性質とか、時間感覚の壮大さ(邪悪精神が以前、宇宙にもたらした災厄が50億年前)など、ものすごい想像力で組み立てられた、スペースオペラなのかな。艦隊戦が一回しかないからオペラじゃないかもしれないが。


続き物じゃない、続き物もないSF、ファンタジー系の積ん読がとうとう無くなってしまった。