遠き神々の炎(上)
- 作者: ヴァーナーヴィンジ,Vernor Vinge,中原尚哉
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1995/11
- メディア: 文庫
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それぞれの「圏」では物理法則が違い、人工知能の働きの速度が違い、ということがぼんやり分かってくるのが終わりの方にいたって、そして三つのうち二つがコンタクトを取り合うようになってようやく収束の方向が見えてきたらしいところで上巻は終了。際涯圏では超光速で物理的移動が可能だが、低速圏では頑張っても亜光速しかでないので、舞台の中心となる際涯圏では何千光年もぶっ飛べる、という設定は良かった。浦島効果も無さそうだし。
下巻を読み終わるまでは判断はしづらいが、相当なプロットを惜しげもなく一つの話の中に流し込んだ上に、それが無理のない状態で混ぜ合わさっているところに作者の創造性が際だった感がある。それぞれを無理矢理感じに当てはめたところは個人的にはやりすぎと思ったが、これはカタカナのママではさらに複雑で分かりにくかった可能性も多く、これはこれでいいかな、とも思った。
ただ、世界観の説明を上巻の訳者の後書きに書くほど分かりにくいか? とも思わされた。しかも読み終わってから読んだからくどい。始めに読むといいかといわれればネタバレしてるから何ともいえないし。なんだかよく分からない世界の中を、なんだかよく分からない存在が動く姿を、少しずつ読み進めることによって理解していく、というのがSFの醍醐味だと思うんだけどなぁ。