幼年期の終わり

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

幼年期の終り (ハヤカワ文庫 SF (341))

どれくらいぶりか分からないが、再読。
終わり方はなんとなく記憶していたし、オーバーロードの姿がアレに似ているのも覚えていたが、後者についてはそれほど大げさに書いてなくて、最初に読んだ時にかなり衝撃を受けたはずなのだが、なんだか肩すかしされたのはなんでだろう。終わり方もゆるゆるとした絶望というか諦観、だった気がしたのだが、これほど破壊的な終わり方だったとは、意外と覚えていないものなんだな。
周りのものにも、感情も、意識も、個性も、何もかもが邪魔なものとして振り払い、「一なるもの」的なものと一体化することは、幸せではないなぁ。仏教における悟りの境地っておそらくこういうことなんだろうが、仏教と違うところはあまねく俗なるもの一切を救済するのではなく、すべて無いものとしてしまうこと、か。
すべての人が満足し、あくせく働かずにすみ、平和この上なく、幸福に満たされすぎた世界では、何も新しいものが生まれない、という状況も恐ろしいものだった。
なんだよ、ともかく何か空恐ろしい話じゃないか。