敵は海賊・海賊たちの憂鬱、ALL YOU NEED IS KILL

敵は海賊・海賊たちの憂鬱 (ハヤカワ文庫JA)

敵は海賊・海賊たちの憂鬱 (ハヤカワ文庫JA)

入院中、手術は10分で住んでしまって後はひたすら暇になるので、本を二冊持っていった。ほぼ読み切ってしまった。
一冊目は「敵は海賊」シリーズ3冊目。今回は海賊課の二人(一人と一匹)というより匋冥の方。正義に凝り固まる政治家の台頭を阻もうとする海賊王(ONE PIECEがなければなんという格好いい称号、だったのだがもうこの字を目にすると薄い笑いが浮いてしまう悲しさ)匋冥と、政治家を保護する海賊課のラテルと、本当は保護しないといけないのだが保護する気無さそうな黒猫型異性人の海賊課アプロ。
宇宙幽霊? みたいのが出てきてなんという荒唐無稽! と思ってたが匋冥の宇宙船カーリーが頭狂ってしまったような感じが恐かった。とりあえず宇宙船が女言葉で情念たっぷりにしゃべるんだから雪風じゃなくってこっちを映画化すればいいんじゃ…。
そしてやっぱりアプロ、ステキよ、アプロ。匋冥がもっとも恐れる敵は彼のようだ。ラテルも相当変な刑事だが、今回はもっともまともな人間に見えるアプロの怖さ。


よく考えると文法的におかしいな。
地球人類がギタイという名の棘皮動物(ヒトデと同じ。見た目はでかいカエルの様という設定)と20年に渡って戦っている世界。
世界で一番強いのが10代の女の子、というのはラノベ的ではあるが、なぜ彼女が強いのか、なぜ主人公が端から見ると信じられないほど強いのか(読者からはインフレ半端なく見える)のがしっかりとした理由があるのがよかった。しかも甘ったるいハッピーエンドではないし。棘皮動物の戦いの理由もしっかりあったので中途半端なセカイ系ではないし。
ラノベの文庫に載っているのはもったいない。ラノベにありがちないらないイラストもなかったし。
紫色のクオリア』と同じくループものなのだが、ラノベのSFってループものが一つのカテゴリニーになっているのだろうか。嫌いじゃないけど。