生物学的には正論かもしれないが社会的には理想論

目がものすごく見えないのだが。さらに自室で蚊に刺されるこの屈辱。


ちょっとした理由で2007年度の某旧帝大入試問題の英語の長文問題を一つ読んだ。
なぜ10代の子供たちは宵っ張りで朝起きれず、授業中に寝てしまうのか、という話であった。
ただ単に10代の子供たちが怠惰なのではなく、生物学的な理由によるものであることを知った。つまりホルモンバランス等の変化によって、早くに床に就いても眠ることができず、それでいて赤ちゃん以外では最も長く寝ることができる、すなわち長時間の睡眠(9から10時間と書いてある)を必要とする年齢であるため、朝起きるのに苦労し、なおかつ慢性的な睡眠不足により授業中に居眠りをしてしまうらしい。しかも寝不足は非行や鬱状態摂食障害、喫煙、学業不振を招く。個人的には喫煙と寝不足には因果関係は無かろうかと思うのだが。だからこそ、週末にその不足を埋め合わせるためにいつまででも寝ていることができるそうだ。
そこで筆者が述べた解決策がすごい。朝8時とかから学校が始まるからこの悪循環が止まらない。ゆえに始業時間を11時にすれば、授業中に居眠りをすることにもならず、上記の問題行動も起こさないだろう、ということなのだ。
10代、というのであればこれは何も筆者がとくに挙げている高校だけに限らない。少なくとも大学の1年生までは入るのではなかろうか。それとも最近は食事の豊かさで19歳はもはや10代とは言えないほどの成長を見せているのだろうか。いずれにせよ、字義通りに10代は、と考えれば、1年生には11時から1限が始まることにすべきだ、ということになる。確実に現在の授業システムでは1から2時限分が減じる。そうなれば1年生は土曜日にも授業を受けなければ必要単位が取れない可能性がある。高校の始業時間を11時から、にすれば同様の問題が発生する。ただでさえ公立高校は私立高校に比べて授業時間が少ない(すなわち公立は土曜日が休みであるが、土曜日を休みにする私立はめったにない)。ここに学力格差が生まれ、大学格差が生まれ、就職格差が生まれ、経済の格差が生まれることになるわけで、生物学的には正論ではあろうが、社会的にはいろいろな意味で無理だな、と思った次第。
しかし18歳の受験生にこういう内容を読ませるのはいかなる理由があるのだろうか。問題の作成者は大学の教員である。それとも内容は二の次なのだろうか。単語の量なのだろうか(普通の受験生が最も苦労するところだ)。いかにも受験生に読ませたいのであろうな、大学に入ったらこの内容を思い出して欲しいのだろうな、という問題もあるから理解に苦しむ。