謎とき平清盛

ここのところの夕飯は煮込み系ばかり。そろそろネタがなくなってきた。今日は豚肉の肉じゃが。

謎とき平清盛 (文春新書)

謎とき平清盛 (文春新書)

大河の時代考証の一人が著者。一般書的な丁寧語なのにものすごく読みやすいのは、この人の文章力の高さなんだろう。
二部構成で前半は11世紀から12世紀という古代末期から中世に入りかけの時代背景と、社会状況をまとめたもの。存在感を表し始めた武士とはどういうものか、というのを現代的な武士のイメージとは違う、という点を考慮した内容。個人的には何度読んでも今一よく分からない国司(国主)と地頭と在地領主と国衙の関係とかが知りたかったが、清盛の話だと舞台が基本近畿だししょうがない。
後半は清盛がどのような意味でその後700年に及ぶ武士の時代を幕開いたか、政治的主体としての武士のパイオニアになったのはどのような意味を持つのか、について。面白いのは清盛が何を考え、清盛はいついつどのようなことをし、という部分がほとんどないこと。外堀を少しずつ埋めていってその政治的、社会的役割を描く、という点か。
ああ、政治社会史なんだなぁ、と思わせる筋が途中でぶれないのがすごい。
所々「うちの奥さんマンセー」が入るのはこの人のデフォなのかなぁ。後書きでは自分がオタクであることを自認しているようでもあってよろしい。


そういえば2000年頃に出たタイム誌で、そこまでの1000年を代表する人物の一人に、日本では源頼朝が選ばれていたそうで(他の人物をちらっと見た限りでは西洋に重きが置かれすぎて微妙だが)、その理由はその後の700年を時代づけた人物だから、ということだそうだが、その先鞭を付けたのはまさに清盛であることが良く分かった。しかし天皇とは難儀な商売だな。
あと、大河ドラマでは子役と松山ケンイチの間に13〜15歳ぐらいの子供を挟むべきだったよ。とますます思った。義友はもっと非道いな、あれ何歳だよ。