喧嘩両成敗の誕生
- 作者: 清水克行
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2006/02/11
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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だんだんと罪に対する罰が儀礼的になっていくのが面白い。下手人の代わりに「解死人」という人物が紛争相手のところに行って、本来はそれを殺して罪を「相殺」するはずだったのが、行くことに意味があるようになる、という話は大変興味深かった。
基本的に体面を保つために「同じぐらい」の罰によって罪を相殺する、その感覚が世間一般に拡がっていることから、そこを大事にしつつ実際には大名裁判権の確立をめざしていったものであり、これまでいわれるように「日本に独特の(これは本当のようだが)、戦国時代に成立した紛争解決にまつわる法の最大のもの」という喧嘩両成敗の評価は高すぎる、と。簡単に調べてみるだけで、それは紛争解決のひとつの方策であり、その他にも多々あるもののうちであり、公権力は別に罪の判断をなげうったわけではなく、できるだけ裁判となるように働きかけた動きのひとつであった、という話。
中世から近世への転換期を喧嘩両成敗で語ることは可能である、というのはまたひとつ面白い話ではあった。エピローグだけど。そして現在では「玉虫色」にまで残っているとしたら、これは考え直さなければならない、と、ちゃんと「過去の歴史を振り返って現在の問題を再考すべき」という姿勢をとっているのはオチとしてすばらしい。