キリストのクローン・真実

キリストのクローン/真実 (創元推理文庫)

キリストのクローン/真実 (創元推理文庫)

二日で読んでしまった…。
キリストのクローンとして生まれたクリストファーが、いよいよ救世主として未曾有の危機に直面した全世界に救いをもたらす、そして聖書に隠された驚くべき真実を世界に暴露しようとする、という展開。
前作以上の、カタストロフィーのてんこ盛り。小惑星が接近、一つは地球の大気圏内を長距離にわたって横断、離脱、一つは太平洋直撃、もう一つは核兵器でぶっ飛ばしたはいいがその大量の破片が実は高濃度のヒ素、という状況で数億単位の人がほぼ即死、数千万単位の人が苦しみながら死亡。その結果の天候の異常(寒冷化)、生殖器を持たないあり得ないサイズの毒虫の数百万単位の襲来でこれまた億単位の人たちが苦痛に苦しみ、しかも安楽死用の薬すら効かず「この苦痛から解放されるために殺してくれ」状態、更にその恐ろしさから農作業が進まず世界的飢饉に直面、その上チグリス川上流から突如として発生した伝染性の悪魔付きによる大量虐殺、という状況がものすごい勢いで展開。もったいぶったり焦らしたりしない書き方は相変わらずで一度読むと止められない、そこは良かった、ものすごく面白かった。お涙頂戴にしないところも最高だった。これぞ(変則的ではあるけれど)SF!と思った。
残念ながら「神にまつわる驚くべき真実」がね、なんというかもうなんというありがちな設定。手あかが付きまくった神の名を名乗る悪とルシファーを名乗る善との戦い的な…。え〜〜〜〜。しかも最終進化が肉体を超越した精神体。これもえ〜〜〜〜〜って感じ。これが最後の最後の盛り上がりに来たので一気に盛り下がってしまった。とりあえず佐藤史生の『ワン・ゼロ』でも読んどけ。


絶対の唯一の最高神の存在しない宗教、普遍宗教でも仏教はそうであって、仏教的(というか神仏習合的)文化で育った日本人にとっては、その辺がまるっと無視なのがモヤモヤが残ったところ。キリスト教文化に染まった教育を受けた人間ではあるけれども。そしてサイエントロジーとかクリスチャンサイエンスとかが肯定的に出てきてこれには興ざめ。