The Subtle Knife

もう何を信じて良いか分からないし、できることも節電ぐらいしかないので、申し訳ないけど現実逃避。


The Subtle Knife (His Dark Materials S.)

The Subtle Knife (His Dark Materials S.)

ファンタジーが読みたかったので。
ライラの冒険シリーズ(原著のシリーズ名は怖い)の第2巻。
第1巻では悪くいえば高慢ちきの小生意、よくいえば自信に満ちた行動かな小娘、ライラが、1巻での友人の死などに学ぶどころ多かったと見えて、なかなか思いやりのある、優しいところもある、世話焼き女房っぽくなってきた。
対して2巻から登場するウィルは、お母さんが心の病にかかっているようで、彼女を小さいころからずっと心に掛けてきたところから、生活力があり、賢くて、そしてライラには涙を見せたくない、といういい男の子。


話がだんだんと暗くなっていき、重要人物が死に、物事はどんどんひどくなって2巻が終了する。物語は単にライラが不思議な機械を操れる、ライラの両親が相争う、といった話どころではなく、甚だしく壮大な世界観。多重世界を舞台に、神と、神に一端は敗北した堕天使たちと、今度は人間が神に対して大反撃を試みる、という話にいきなりシフトした。
このシリーズがアメリカでは反キリスト教、ということで忌み嫌われている部分も多い、という話を聞いていたが、2巻に来てやっとその意味が分かった。
原著のHis Dark MaterialsのHisが誰を表すのか分からない時点で、「暗黒物質」が分からない。話の筋通りならば、これが人間の意識を産みだし、人間が脳に持っているものなのだが。


それにしてもウィルの可哀想なこと。名乗りを上げることさえできなかった二人…。(ライラに至っては両親が相争っているうえに、母親はどうやら彼女を殺してしまうか何かしようとしているし)。