地球の長い午後

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

地球の長い午後 (ハヤカワ文庫 SF 224)

3時まで読んでしまった、なんというバカ。
秀逸なタイトルでタイトル買いしてしまった本。20億年後の地球では、すでに超新星爆発(太陽の容積だと足りないような気がする)に向かって太陽は着実に巨大化し、地球自身は太陽の引力作用の結果現在の水星のように常に太陽が当たる面が同じとなった結果、生態系が大きく変わり、この状態に適応するように進化した植物が生い茂り、動物としては巨大な蜂と矮小化した人間から進化(退化、といえる)した人びとが、恐ろしい植物たち(飛ぶものとか、襲うものとか、脳がない、本能的にしか動かない非常に巨大な生物)に襲われながらも細々と暮らしている。実は月にも大きな変化が起こっており、そこまで蜘蛛の糸の様なものを伸ばした植物によって、死に瀕した人びとは運ばれ、そしてそこでまた不思議な変化を起こし、みたいなこう、ものすごい想像力の世界で想像を絶したある少年の営みが、的お話。
個人的にいうとものすごく面白かった、とは言い難いな。オチが知りたくて読み進めたようなものだが、オチが「俺たちの旅はまだまだ続くぜ」的な終わり方で、よく考えるとそれ以上のよい終わり方はなかったんだ、と思った。
巨大の木での樹上生活とか、科学技術すべて無くして風変わりな宗教というか哲学の下に暮らしている人びととか、人に寄生して運動性を支配下に入れるキノコとか、『暁星記』の元ネタと思える世界観で、ほのぼのとしながらもたくましい金星物語、と思っていた『暁星記』がああいうSF展開になることはこれを読んでいたら気が付いていかもしれない。