中世を道から読む

中世を道から読む (講談社現代新書)

中世を道から読む (講談社現代新書)

時代は鎌倉時代から戦国時代中期から末、舞台は関東、特に戦国時代では上杉と後北条が中心となるので北関東。
この時代の道の働きについてだが、ポイントは道と川の関係。中世のアイルランド史だと川はほとんど「道」の一種(しかも道よりもスピード感がある)という認識しかなかったが、日本における川というのは道でもあるがそれよりも交通の流れを阻害する原因であることの方が多いのね。つまり、道(主として街道、つまり戦国大名が戦闘のために軍隊を引き連れて通る、という意味で)のでき方は、渡河点から考えるべき、という話が主体。しかも渡し船では大量輸送が不可能なので、瀬を渡るか舟橋を掛けられる程度の川幅。そして北関東で重要となるのが利根川。そして季節も大問題(融雪による増水とか)。
自然環境から歴史を読み返す、というのは好きな方向性だ。