The Resurrection of the Body

The Resurrection of the Body: In Western Christianity, 200-1336 (Acls Lectures on the History of Religion)

The Resurrection of the Body: In Western Christianity, 200-1336 (Acls Lectures on the History of Religion)

第1部は2~4世紀、第2部は12世紀、第3部は13と14世紀、という流れで、「復活する身体」とは一体何のか、天にふさわしい新しい栄光ある身体を持って復活するのか、その場合その身体を持って復活したものは自分でありえるのか、アイデンティティはどこに存在するのか、自らであるためには自分が生きてきたこの身体その物ごと復活しなければならないのではないか、では埋葬され腐ったりバラバラになった身体はどのように復活するのか、神の力がかかわった場合それは新しい身体になってしまうのではないか、という話が展開される。
キリスト教の思想の裏側にぺったりと張り付いている「物質主義」には驚きを禁じ得ない。
本書の第1部は壮大なる序章とでも言うべきもので、なぜ初期中世がまるっとすっ飛ばされているか、という疑問を呈すること自体が間違いであり、12世紀の話に持っていくためにアウグスティヌスが必要であるために付けられた第1部である。アウグスティヌスの影響力の大きさを今更ながらに確認させられる。
12から13世紀に進むにつれて重要となってくるのが「魂」というものの存在。しかし時代背景的に二元論に進まなかったように読み取れるが、異端への批判から二元論を避けたと言うよりも、魂と身体という考え方がアリストテレスを受容したスコラ学的思考であり、極端に二元論化した思想がその時代に当然のように現れた、という理解でよろしいものか。
12世紀までの話は非常に興味深く読むこともできたし、非常に理解し易くもあり、矛盾した教義に必死に取り組む様子も未だ初期中世的な未分化を感じられたが、第3部の13世紀以降についてはほとんど理解できなかった。スコラ学を研究している人がいなかったことも問題か。12世紀が転換期とは言い切れないものの、決定的に方向付けたのはおそらく12世紀であり、その方向で次第に理論武装化が「近代的」になりつつあったのが13世紀以降、という流れが見える上では、やはり13世紀以降は私の世界とはまったく違う世界観であることはよく分かった。アウグスティヌスアリストテレスはすごかったわけだ。陳腐な言い分ではあるが。