創世の島
ジュブナイル用なので話も短く字も大きかったので、見えづらい状態でも良く読めたのよ。
- 作者: バーナードベケット,Bernard Beckett,小野田和子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/06
- メディア: 単行本
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アダムという名前にもイブという名前にもある程度は意味がある。皮肉にも逆説的に。少女の名前がアナククシマンドロスとか共和国建築者がプラトンとか、少女の指導教官がペリクレスとか、そしてアカデミーとか(どうせならこれもアカデミアとかに訳せばよかったのに)というギリシャ哲学者(ペリクレスが政治家であることも意味がある)の名前であるのも皮肉として(と私は感じた)意味がある。ストレートな意味もある。ここで語られるのは「思考」と「意識」についてというまさに哲学そのものだから。(ちなみに対話形式なのは完全にプラトン)
歴史学の口頭試問であるのに、少女の主観が問われたりして、彼女は時々違和感を抱きながらも必死に考え答える。
最後の数ページで驚くべき世界が唐突にしかもあっさりと暴き出され、そしてラストへ。このラストを読むために巧妙に編まれた物語であった。おそらく最後を知ってから再び読み出すと伏線が張りめぐ出されているのがよく分かるのだと思う。普通に読むと伏線には見えないから。
かなり衝撃を受けたので読み返すのは少し待ちたいが、これはジュブナイルだとするのはあまりにももったいなさ過ぎる。すばらしいジュブナイルは大人の読書にも十分に耐えることを表すことを示す良書。
表紙にだまされたよ。表紙の少女はそうかよく見るとフェンスがあるから…。