聖パトリックの煉獄
イタリアどうしちゃったんだろうか。南米の方が調子いい感じ。
そしてスロヴェニアめ…。
スロヴェニアとセルビアにはだいだらぼっちが入っても分かんないよね、と思わせる名前。Cの上に^の逆で「チ」というのは不思議な感じだわ。
- 作者: マルクス,ヘンリクス,千葉敏之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2010/05/12
- メディア: 文庫
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煉獄は臭くて寒くて痛くて暗くてうめき声が延々と聞こえる場であり、逆に天国は明るくていいにおいがして花々が咲き乱れ歌声が響く場である、という、当時の生活環境を如実に感じさせる直接的な描写が西洋の文化の限界点を示していて興味深い。そして魂は実体的であるので実際の痛みを感じる、という究極な実体主義は中世のキリスト教のお約束で、まるで魂の話であるとは思えないわかりやすさ。
一つ勉強になったのは、12世紀のアイルランド人(「トゥヌクダルスの幻視」の方)の、アイルランド理解がギラルドゥス・カンブレンシスの『アイルランド地誌』のイメージを踏襲していること。カンブレンシスはアイルランドに来たことがなく(はず)、アンビバレントな態度でアイルランドを描写しているが、その実ある種のプロパガンダ(ヘンリー2世にとって好まれる形で)ではないかと思っていたのだが、どうもそう簡単には片づけられる問題ではないようだ。
訳者解説によれば、「トゥヌクダルス」も「聖パトリックの煉獄」も1100年代の前半に書かれたようだが、まさにヘンリー2世のアイルランド侵攻(援助を願ったのはアイルランド人自身なのだが)前夜、という時代をほとんど感じさせないが、当時のアイルランド人たちは西洋における自分たちをどう位置づけていたんだろうか? 文化的(トレンド)には大陸と大差はないと感じていたんだろうか。幻視ものはトレンドだったろうし。
なんかいろいろ不思議だ。