異形の王権

デザインが変わって若干やりにくいんだが、はてな…。


異形の王権 (平凡社ライブラリー)

異形の王権 (平凡社ライブラリー)

中世期(端的に言えば南北朝期)に「聖なる者」の「賤なる者」への転換が起こった、というのが主旨、と思える。そしてその「聖なる者」だった者が、いわゆる「非人」であり、その「異形」ゆえにその聖性が包含されていた、ということがなにゆえ南北朝期で転換するのか、そこで主役を張るのが「異形の王権」を確立しようとし、瓦解しながらもその後の社会と、現在まで引きずる天皇制の問題の根幹に影を落とす後醍醐天皇とその建武の新政である、という話。
価値観の転換は文化的社会的政治的転換であり、ここに現在の日本の基盤を見いだすべきなんじゃないだろうか、縄文からの日本人とか奈良がすべての初めとか夢見がちなことをいうよりももっと説得的だろう、と思うのは南北朝好きだからかもしれない。
南北朝に萌える歴女はいないのか、世の中。戦国の原点も南北朝だぞ。権威の原点は鎌倉時代かもしれんが。

網野善彦、2004年没、阿部謹也、2006年没、というのも一時代を完全に終了させた感じだ。