首都決戦と暫定政府と平和維持軍と戦後復興とテロ

覇者と覇者  歓喜、慙愧、紙吹雪

覇者と覇者 歓喜、慙愧、紙吹雪

まさに現在のイラクの状況のなかを、なんだかヤケに陽気な女の子のマフィアが泳ぎ、精鋭部隊だった孤児部隊の最高司令官が真摯に部下の将来を心配し、そして先を見ず自ら頭をブッぱなった女。
著者はどこに落としどころを見つけるつもりだったのだろうか。とりあえずも東海以東での戦争は終結したようには見えるが、すでに内部闘争が始まり、それにつけ込んでテロが横行し、平和維持軍は役に立たず、そして人権と正義を武器にしたアメリカの陰謀。と邦子の陰謀あたりがリアルな世界と直結していて、これが言いたいがための最終巻かと思わせる。アメリカに頼った国の軍隊は基本的には反米気質だ、みたいなことが書いてあったが、なんという真実。
おそらく残り3章半でともかくも何らかの落ちを付けるつもりだったのか、それとも落ちを付けずただ終わってしまう話だったのか、なんとなく主人公二人の死亡フラグが立ち気味であったから、ここで投げ出されたことが良かったのかもしれない、と思って納得しなければならない断筆。
こんな状態では、悪党になるか死ぬか問二択しかなければ、椿子は悪党のまま孤独にすっ飛ばし、海人は死ぬしかないんだろうな、と思わなきゃいけない状況。戦争はイヤだね、ホントに。